突然うつ病になってしまった
人生なにが起こるかわからない。だから面白い。しかし、良いことばかりではない。時に嫌なことも起こる。
私自身突然うつ病になってしまったことがある。うつ病の兆候はあったのだろうが、突然うつ病になってしまった。
仕事がつらくてうつ病になってしまった
私がうつ病になった時は、仕事がとても大変だった。当時私は医療相談員という仕事をしていた。病院に勤務し、入院や退院の調整をするような役割を担っていた。医療相談員の仕事については、また別の機会にお話ししたいが、就職した病院はとても過酷な労働環境だった。入院のノルマが決められており、ノルマを達成できない医療相談員は人として認められない、そんな職場だった。
理事長が鬼畜
理事長から直接言われた「おまえら医療相談員は入院患者をとってくるために雇ってるんだ。死ぬ気で患者を取ってこい!」という言葉が、今でも忘れられない。一生忘れないと思う。患者を物扱いし、金儲けの道具にしか考えていない。腹の中で地獄に堕ちろと思いながら、真剣な顔で忠誠を誓った。自分も食べるために必死だった。
病院への飛び込み営業
そんなわけで、医療相談員という名目で、死ぬ気で患者を他の病院からとってくる事を生業にしていたわけである。飛び込みで病院に営業をかけるが、取り合ってくれない病院も多い。「どんな患者でも検討しますので、ご相談ください!」そう言ってパンフレットを渡す。ベッドの空床がでるとそんな営業ばかり行なっていた。
病院に営業をかけるとそれなりにリアクションはあるのだが、非常に厳しい病状の患者を紹介されることが多い。要は転院してすぐに亡くなってしまうような患者である。私の勤務していた病院は、療養病棟という種別の病院であったため、そういった患者でベッドを埋めていた。
形だけのザル判定会議
あまりにも厳しい病状の患者は断るのだが、ほとんどの場合は検討会議を行うものの、『受け入れ可能』という判定が下される、ザル判定会議だった。
受け入れの判定を行うのは院長で、入院の際の診察はしない。ほとんどの場合、入院の診察を行うのは高齢のバイト医師だった。
判定会議で受け入れ可能の判断が出たケースを、バイトの医師に「入院受けの診察をお願いします!」というお願いをすることも医療相談員の仕事だった。
バイト医師との衝突
バイトの医師としては、突然ひどい病状の患者の入院受けをお願いされる訳である。当然受けたくなんかないだろう。何か間違って責任を負う可能性もある。「なんでこんな患者を受けなければならないんだ」そう言いながらも、受けなければいけない、雇われ医師としての宿命があった。その宿命に託けてどんどんひどい病状の患者の受け入れをお願いし続けた。それがその病院での医療相談員の仕事だった。
あるとき、ついにその医師の堪忍袋の尾が切れた。「こんな患者を受けろっていうのか!いつもいつもなんなんだ!」病棟にバイト医師の怒声が響き渡った。「うるせぇ!おまえも働いてるんだったら仕事しろ!ひどい病状の患者を受けるのがここでのお前の仕事なんだよ!この老ぼれが!」そう言い返したい気持ちを殺して、「申し訳ありません」とだけ答えた。
その後のことはよく覚えていないのだが、色々なことを考えていたと思う。逃げ出したい、消えてしまいたい、というような気持ちが大きかった。
そしてうつ病へ
その夜から色々なことを考えてしまい、眠ることができなくなった。
つづく